【美の巨人たち 感想】 葛飾北斎「富嶽三十六景・神奈川沖浪裏」

2013年1月5日 放送



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今週の芸術家


・作者 葛飾北斎(1760-1849)
・国籍 日本
・職種 浮世絵師


1760 1歳 武蔵国葛飾郡(現東京都)にて、貧しい百姓の子として誕生。
1764 5歳 幕府御用達鏡磨師であった中島伊勢の養子となる。
1770 11歳 木板版下彫りを学び、また貸本屋の徒弟となった
1778 19歳 当時の役者絵 勝川春章の門に入る。
1779 20歳 勝川春朗と号し、画界デビュー。
1794 35歳 勝川派を破門される。
1795 36歳 宗理の号を用いる。
1798 39歳 宗理号を家元に戻した。
1805 46歳 葛飾北斎の号を用いる。
1814 55歳 北斎漫画』初版発表。
1823 64歳 富嶽三十六景』の制作開始。
1831 72歳 富嶽三十六景』が開版される。
1833 74歳 富嶽三十六景』完成。
1834 75歳 富嶽百景』製作開始。
1844 85歳 信濃国の小布施に滞在、『怒涛図』制作。
1849 90歳 江戸・浅草の遍照院にて死去。


今週の作品


・作品 富嶽三十六景 「神奈川沖浪裏」(1831頃)
・場所 太田記念美術館
・縦横 39cm×26cm
・材質 錦絵・木版画


通称『大波』。
この画は今の本牧埠頭あたりから見た風景だと言われています。
画面中央、遥か彼方の富士は、荒波も、人の営みも、我関せずとばかり泰然としています。
画面を支配するのは、鮮烈なブルーです。
その青と波頭の白が際立っています。
飛び散る飛沫、その一瞬を捉えた迫真の描写。
高波に揺られる船の上で人々は必死で船べりにしがみついています。
では、しばらくじっと見つめて下さい。
知らず知らずのうちに、目線はやがて、波から富士へ向かって行きませんか?
それがこの画の面白さ。

雑感

日本が世界に誇る人物は誰か?
と聞かれたら、私は「葛飾北斎」と「紫式部」を挙げることにしています。

画と文・男と女・貧と雅と上手くバランスが取れているし、
和歌・和服・ひらがな・浮世絵・相撲・漫画…など主張したい日本文化の話題を切り出しやすいからです。

また、北斎は「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」という企画で、日本人として唯一ランクインしたこともあるそうです。

まさに新年一発目の放送に相応しい芸術家だと思いますし、美大生と理系男子のカップルというショートストーリーの切り口も"らしくて"好感が持てます。

今年も『美の巨人たち』が毎週の楽しみになりそうです。