【美の巨人たち 感想】 ルノワール『浴女たち』
今週の芸術家
・作者 ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841-1919)
・国籍 フランス
・職種 画家
1841 | 1歳 | フランス中南部のリモージュの仕立屋の家に生まれる。 |
1843 | 3歳 | パリに移住 |
1854 | 13歳 | 陶器の工房に絵付職人として徒弟奉公に入る。 |
1861 | 19歳 | エコール・デ・ボザールのシャルル・グレールの画室に入る。*1 |
1967 | 25歳 | 『狩りのディアナ』発表。クールベの影響を受けた。 |
1972 | 30歳 | 『アルジェリア風のパリジェンヌ』発表。*2 |
1874 | 32歳 | 第一回印象派展『桟敷』など7点を出品した。 |
1876 | 34歳 | 第二回印象派展『陽光を浴びる裸婦』など15点を出品。 |
1877 | 35歳 | 第三回印象派展『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』など22点を出品。 |
1879 | 37歳 | 第四回印象派展の出品を拒否、印象派との決別 |
1881 | 39歳 | イタリアへ旅行。ラファエッロらの古典に影響を受ける。 |
1885 | 43歳 | 長男ピエール誕生 |
1890 | 48歳 | アリーヌと正式に結婚 |
1894 | 52歳 | 次男ジャン誕生 |
1897 | 55歳 | 『眠る浴女』発表。*3 |
1900 | 57歳 | レジオン・ドヌール勲章を授与される。 |
1901 | 60歳 | 三男クロード誕生 |
1903 | 62歳 | 南フランスのカーニュ・シュル・メールに移住。 |
1918 | 77歳 | 『浴女たち』制作 |
1919 | 78歳 | 死去 |
今週の作品
・作品 浴女たち(1918)
・場所 オルセー美術館
・縦横 110×160cm
・材質 油彩・画布
陽光降り注ぐ新緑の上に、二人の乙女がゆったりと体を横たえています。
画面奥の池では、楽しげに戯れる三人の女性。
だとすると、横たわる二人は、今しがた水浴びを終えたばかりでしょうか。
日の光を浴びて全身がまるで輝きを放っているかのようです。
とりわけ目をひくのは、はちきれんばかりの豊満な肉体。
画家が魅了された女性の体の曲線が、伸びやかな筆使いで大胆に描かれています。
楽園を彩る草木や澄み渡る空の青、木々も、空も、大地も、肌の色も、一つに溶け合い光り輝く色彩の競演。
雑感
余りに豊満な裸婦像です。もはや、風景画ではないかと感じてしまいます。
女性の線と山々の稜線が重なり、手が不自由だったからでしょうか、色彩も印象主義を思わせます。この裸婦たちは、『パリスの審判』で描かれた女神以上に神秘的ではないでしょうか。
円熟期の肉感的な裸婦や愛らしい少女たちは、良い意味で世俗的です。
ルノワールは、死の間際まで作風を進化させ続けたのでしょう。
ルノワール自身、本作に対して「生涯において探求した絵画表現の融合的作品」と言葉を残しており、生涯最高の作品と位置付けていたそうです。
手が動かずとも描き続けた執念、死の間際まで持ち続けた向上心たるや、感嘆敬服の念を禁じ得ません。