論理的思考入門 / 新井紀子『生き抜くための数学入門』
ヘンなことばっかのこの世界で、しゃきっと立っていたい。だったら、数学だ。根本から問いなおす。クリアに整理する。ねばって方法を探し出す。真っ向からの数学体験は、人生というバトルフィールドを行く君の力に、きっとなるから。公式丸暗記でやりすごし、試験が終わればさようなら…なんて、もったいない。
そもそも、それってなーに?
- 「最近の小学校では円周率を"約3"なんて教えている、嘆かわしい。」などと主張する人がいるが、そのうちの大半が「円周率とはなにか(=定義)」「なぜ円周率が3から始まるのか」という問いに答えることが出来なかった。
- 円周率とは、円周と直径の比の値のこと。そして、直径1の円に内接する正六角形の回りの長さが3、外接する正四角形の長さが4だから。
- 定義を定めて論理的な主張をすることは、別々の利害を持った集団が纏まるうえで必須。
- 本書の目標は、数学を通じて「とは力」と「なぜ力」(=論理的思考)をつけること。
かけ算を宇宙人に教えよう
●ところで、かけ算って、何?
- [a×b]という形をしていて、意味は[aをb回たすこと]
- じゃあ、[5×3.4]は[5を3.4回たすこと]なんですか?
●かけ算は拡張されていた
- 小数の登場以降、[5×3.4]は[5の3.4個分は幾つですか]に拡張されていた。
- 「回」は自然数にしか使えないが、「個」は小数にも使える。
●負の数が表すもの
- 長さ-回数-面積…にはマイナスはない。
- 湿度-標高-時間…にはマイナスがある。
- 負は小さい数ではなく、0を基準とした正の数の反対方向の数である。
●「らしさ」を大事に
- かけ算の「らしさ=性質」は、拡張されても変わらない。
- 0を掛けたら0になる、1を掛けても変わらない、どこから計算しても変わらない…など
数学的な構えをチェック
●「借金」×「借金」は
- 「借金」×「借金」はあり得ない、正しくは「借金」+「借金」
- 教科書のような、定義・計算・解釈が整った問題は稀。
●式と意味をつなぐもの
- 300×(-4)にあてはあまるような問題は非常に作りにくい。
- 負の数同士の割り算ともなると、相当不自然な状況になる。
●数学的な構え
- そんな数学を習う理由は、論理的な思考を身に付けるため。
●現実離れしているからこそ
- 点や線の定義などは、現実離れしている。
- しかし、権利・社会・リスク…もまた抽象的な概念。
●頭の中を整理して
- 遠くの安いスーパーへわざわざ買い物に行くメリットは?
- 「なぜ」に対して「それは…だから」と論理的に順序よく結論を導く習慣が必要。
俳句の可能性は無限大か?
●無限ってどんな数だ
- 無量大数は最も大きい漢数詞の単位、数はそれ以上に"無限"に続いている。
●可能性を検証すると
- 「日本語かな」は109種類、110*…*110=110^17 俳句の上限は約500溝以下。
●有限だってなかなかだ
- 地球の表面積は約5億995万平方km/水素原子の体積=地球上に存在しうる生物の上限
億万長者になる方法
●可能性と確率
- 可能性はあるのに確率は0。1/無限は0
●無限に買い続けると
- 30億円投資して2億円回収できる確率64%
●買い占めならどうだ
- 当たる総額/買い占めた時に使い金額=期待値
国語と数学のふかい関係
●教科書に出ない割り算
- 教科書には計算できて意味のある例題ばかりが乗っている。
●かんたんな割り算は
- 2や5ばかりを掛けてできた数で割るときは簡単。
●ツッコミを入れよう
- 文章題が苦手な生徒の多くは国語が苦手。
- 一人ツッコミをすることで客観性が生まれる。
●割り切れるか繰り返すか
数直線は変な線
●ひもではなかった
- 抽象概念
●0.999……=1だって?
- 数直線を二つに分けると、a以上の数とa未満の数になる。
- 0.999……と1の間に数はない、よって数直線の性質と異なる。
●なんども騙されよう
- 日常的な感覚からすると奇妙、けれど論理的な結論。
●数直線上の数の性質
- 数直線上のどの点も数である。
●言葉だけ覚えても
- 分数で表せる数=有理数
四角形って何だっけ
●四角形を探せ
- 4本の直線によって囲まれた図形
●トポロジーという分野
- 図形の違いに注目して分類したり、その性質を研究する分野。
- 4本の直線によって囲まれており、内部のどの2点を結んだ線分もその内部に含まれているような図形。
●中学からの数学は
- 小中高の数学に凹のある四角形は出てこない。
かけ算の筆算ははぜ正しい?
●見積りをクセにしよう
- 46*2.35 46*2=92より少し大きいから100前後
●仕組みを解明する
- かけ算の筆算を解明する
- 暗記するだけでなく、仕組みを解明して納得する
累乗のこわさとおもしろさ
●先祖の数を計算すると
- 27世代前の先祖の数は、2^27=1億3421万7728人?(親戚同士で結婚しているはず)
●ダニはやっぱりどどっと増える
- aが1より大きければ必ずこの形のグラフになる。
あんなグラフ、こんなグラフ、どんなグラフ?
●グラフを言葉で表してみる
- グラフを見て問題をつくる。
●グラフの形を予測する
- 状況からグラフを予想する。
●「関係」を対で表したもの
- グラフ=「関係」を対で表したもの
- 放物線だけがグラフではない。
計算できない関数
●なぜ計算できるのか
- 計算の方法が分かっているから。
●しらみつぶしは苦しいけれど
- √7を計算する、2.1*2.1 2.2*2.2……2.7*2.7
●「めんどう」が微積分を生んだ
- 微積分