【読了】『逆説の日本史 古代黎明編 -封印された「倭」の謎』

2012/1/16(月)

逆説の日本史〈1〉古代黎明編―封印された 逆説の日本史〈1〉古代黎明編―封印された
井沢 元彦

文庫: 488ページ
出版社: 小学館
発売日: 1997/12

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目次

雑感

平安時代の学者「源為憲」が記した「口遊(くちずさみ)」に当時の三大建造物の覚え歌、「大屋を誦して謂う。雲太、和二、京三…」*1 なるものがある。

  1. 雲太(出雲大社)→?
  2. 和二(東大寺)→仏教の象徴
  3. 京三(御所)→天皇の象徴

当時の日本人達の感覚をして、「東大寺」や「天皇御所」よりも優先されていた「出雲大社」とは何か?

祭神・大国主神

神話によると、祭神は「スサノオ」の息子「オオクニヌシノミコト=大国主神

大国主神は、出雲から山陰地方・信濃までを手中に収めており、まさに「大国の主」だった。しかし、天照大御神高天原にいた天津神は、葦原中国を統治するべきなのは天照大御神の子孫(後の天皇家)がふさわしいとして、統治権を譲るように(平和的に?)迫る。大国主神は抵抗するも、子であり腹心でもあった事代主神建御名方神の両名が投降。

大国主神も、「自身は黄泉の国を収めること・立派な宮殿を作ること」で納得し、国を譲ることになった。

記紀

日本書紀』や『古事記』が支配者階級がその支配を正当化するための虚構である― とする向きもあろうが、

あれほどの"物語"を全くのゼロからデッチ上げるということは、大変に難しい。
幾らか誇張や美化があるのは当然として、モデルになった人物や事件があったと考えるほうが自然だろう。

どちらにせよ、
「神話に沿えば、最高神に叛逆した神」
「史実を推測すれば、征服した敵国の王」である。

そんな大国主神が祀られている「出雲大社」が"国教の神殿"や"天皇の住む御所"よりも遇されているのは何故か?

祟り

それだけ、「悪霊の復讐」「怨念」、つまり「祟り」が恐ろしいものだと考えられていた。

菅原道真天満宮」や「崇徳天皇」、「平将門」だけではない、霊というものが、いかに日本史を動かしてきたか。(動かしているか!)
日本史の呪術的な側面を軽視してはいけない。

*1:今でいう「一富士、二鷹、三ナスビ」のようなものらしい。