【雑感】『ドリアン・グレイの画像』

2011/10/15 読了

ドリアン・グレイの画像 (岩波文庫)ドリアン・グレイの画像 (岩波文庫)
ワイルド,西村 孝次

岩波書店
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登場人物

  • ドリアン・グレイ
  • バジル・ホールウォード
  • ヘンリー・ウォットン
  • シビル・ヴェイン
  • ジェームズ・ヴェイン
  • アラン・キャンベル
  • ロード・ファーマー
  • ビクトリア

雑感

美貌の青年ドリアンと彼を描いた肖像画。快楽主義者のヘンリー・ウォットン卿の感化でドリアンは背徳の生活を享楽する。しかし彼の美貌は衰えない。快楽にふけり醜さを加えてゆく彼の魂そのままに"肖像が"醜悪になっていく。いつしか醜い姿に変り果て、慚愧と焦燥に耐えかねた彼は自分の肖像にナイフを突き刺す…。

サロメ』や『幸福な王子』の著者「オスカー・ワイルド」が執筆した唯一の長編小説。以前から気になっていたが、もう少し若ければ本書の魅力を感じられただろうか。

美貌と若さを保ちつづける肉体と醜く変貌する魂との対比を軸にした、幻想と現実・象徴と具象・善と悪の対立(あるいは併存?)、
因果応報を諭した寓話的でもあり、思想・退廃小説でもある。

確かに、ヘンリー・ウォットン卿には背徳的な魅力がある。
その背徳的な魅力を楽しめるか否か。