【雑感】『渡辺照宏・仏教』

2011/10/8 読了

仏教 第2版 (岩波新書)仏教 第2版 (岩波新書)
渡辺 照宏

岩波書店
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目次

  1. 仏教へのアプローチ
  2. 仏陀とは何か
  3. 仏陀以前のインド
  4. 仏陀の生涯
  5. 仏陀の弟子たち
  6. 聖典の成立
  7. 仏陀の理想をめざして
  8. 仏陀の慈悲を求めて

雑感

大多数の日本人は死ねば火葬され墓に入れられる。数分も歩けば寺があり、仏教起源の習慣や言葉が定着した例などは枚挙にいとまがない。

長い時間をかけて土着の信仰である神道と融合し、こんなにも日本人の暮らしに定着している仏教だが、それを概観することは容易ではない。なぜなら、歴史や様々な要素が絡まり合って今日の複雑な体系があることは勿論、特殊な宗派の立場を中心とする宣伝的な書物があまりに多いからである。

しかし、この問題は長い仏教の歴史について考えるときも同様、過去の仏教者たちは厖大な仏典から"各々の判断"によって仏陀の真意と看做されるものを選択し宗派をつくり続けてきた。競争を勝ち抜いた宗派の独自の仏典も加えられ仏典は増え続ける。唯物論者・観念論者・合理主義者・神秘主義者…自分の思想に都合のよい部分を引っ張り出すだけならば、さして難しいことではない。

これらも自身が神道や仏教に大きな影響を受けていながら、"宗教は如何わしいもの"であると考える日本人が増えている一因だろうか。しかし、似非科学に騙されないために最低限の科学知識が必要なように、似非宗教に騙されないためには最低限の宗教知識が必要だと思う。