ヘルマン・ヘッセ『デミアン』
2011/4/16 読了 ★
デミアン (岩波文庫) 岩波書店 ヘルマン・ヘッセ(著)(1877-1962) 実吉捷郎(訳)(1903-1973) 岩波文庫 1959/4/5(第一刷発行) 227頁 Amazonで詳しく見る |
目次
第一章------ふたつの世界
第二章------カイン
第三章------ぬすびと
第四章------ベアトリイチェ
第五章------鳥が卵からむりに出ようとする
第六章------ヤコブのたたかい
第七章------エヴァ夫人
第八章------終わりのはじめ
雑感
デミアンは、夢想的でありながら現実的な意志をいだき、輝く星のような霊気と秘めた生気とをもっている謎めいた青年像である。「人間の使命はおのれにもどることだ」という命題を展開したこの小説は、第1次大戦直後の精神の危機を脱したヘッセが、世界とおのれ自身の転換期にうちたてたみごとな記念碑ともいうべき作品である。 -帯より
ドイツの作家「ヘルマン・ヘッセ」が第一次世界大戦中の1919年に発表した『デミアン』、当時のドイツ青年層同様、思春期の私に大きな影響を与えた一冊。
カインとアベル、グノーシス派など、ある程度は聖書とキリスト教に関する知識が必要になるが、若いほど(物語中の主人公の年齢は10→18歳)良い意味で受ける影響も大きいと思う。
ヘッセ自身も認めているが、『デミアン』以前と以後で作品の色が随分違うので、前期の代表作『車輪の下』と後期の代表作『ガラス玉演戯』などと読み比べるのも楽しい。
読み返して、(というよりも、私がダンテの影響を受けたからなのか)
ジンクレエルが読んでないと言っていた『神曲』との関連の多さ、
特に呆気無く失敗した"ベアトリーチェ"との恋に強い違和を感じた。
ベアトリーチェと名付けた少女の肖像画が(描いたその時から)エヴァ夫人だとすると、ウェルギリウスであるデミアンよりも、重要な存在なのかもしれない。