【読了】『悪魔のささやき』

2011/4/12 読了 ★

悪魔のささやき (集英社新書)悪魔のささやき (集英社新書)


加賀乙彦(著)(1929-)
集英社新書
・2006/8/17(第1刷発行)
・220頁

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目次

 第一章 悪魔はいかにして人を惑わすか
 第二章 日本人はなぜ悪魔のささやきに弱いのか
 第三章 人間を嘲笑い破滅させる、ささやきの正体
 第四章 豊かさを餌に太り続ける現代の悪魔
 第五章 いかにして悪魔のささやきを避けるか

雑感

人は意識と無意識の間の、ふわふわとした心理状態にあるときに、犯罪を犯したり、自殺をしようとしたり、扇動されて一斉に同じ行動に走ってしまったりする。その実行への後押しをするのが、「自分ではない者の意志」のような力、すなわち「悪魔のささやき」である―。精神科医、心理学者、そして作家として半世紀以上にわたり日本人の心を見つめてきた著者が、戦前の軍国主義、六〇年代の学園闘争、オウム真理教事件、世間を震撼させた殺人事件など数々の実例をもとに、その正体を分析。拝金主義に翻弄され、想像を超えた凶悪な犯罪が次々と起きる現代日本の危うい状況に、警鐘を鳴らす。

著者の豊富な経験は面白く、「悪魔のささやき」の恐ろしさを際立たせる。戦中、戦後の変化や、学園闘争時の"教師"側の視点も新鮮だった。

私も"悪魔のささやき"に乗せられたであろう人を幾人か見てきたが、