【美の巨人たち 感想】 伊藤若冲 「鳥獣花木図屏風」


2013年4月13日 放送



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今週の芸術家


・作者 伊藤若冲(1716-1800)
・国籍 日本
・職種 画家


1716 京都の青物問屋「枡屋」の長男として誕生。
1739 父の死去に伴い、4代目枡屋源左衛門を襲名。
1755 家督を弟・白歳に譲る。
1758 動植綵絵
1764 金刀比羅宮奥書院襖絵。
1765 動植綵絵」24幅「釈迦三尊図」3幅を相国寺に寄進する。
1800 死去。


今週の作品


・作品 鳥獣花木図屏風
・場所 ジョー・プライス コレクション
・縦横 縦167cm、横376cm
・材質 六曲一双の屏風絵


……1.2cm四方の升目を用いて、生き物たちの世界を強烈な原色で描いています。
右隻の屏風は、動物の世界。白象やヒョウなど、ほとんどが当時の日本には存在していない、あるいは空想上の霊獣たちです。
左隻は鳥たちの世界。ツグミライチョウといった身近な家禽類や南国の鳥が、また真ん中でひと際鮮やかに描かれているのは空想上の生き物、鳳凰です。……

雑感

私の第一印象は、「仏教的なモチーフの壁画」でした。
全体像を見ても、アラベスク美術のタイル画のようで、とても屏風には見えません。

日本へタイルアートが伝来したのは仏教伝来と同時期、江戸時代には祭りの神輿の装飾に使われるなど、庶民が目にすることも少なくなかったようです。若冲は京都の商家の生まれですし、タイル美術の影響を受けていた可能性は高いでしょう。

しかし、途方も無い手間と時間を費やし、タイル画を再現しようとした結果、まるで別の作品が出来上がった。こう考えるとなんとも魅力的です。

作中で「一枚の紙ではなくボコボコした重たい物」と評していましたが、是非とも実物を見たい作品ですね。