【美の巨人たち 感想】 曾我蕭白 「雲龍図」
今週の芸術家
・作者 曾我蕭白(1730―1781)
・国籍 日本
・職種 画家
1730 | 1歳 | 京都の商家「丹波屋」の子として生まれる。 |
1740 | 11歳 | 兄が夭折する。 |
1743 | 14歳 | 父・吉右衛門が亡くなる。 |
1746 | 17歳 | 母ヨツが亡くなり、丹波屋が潰れる。 |
1759 | 30歳 | 伊勢地方 黒田村の浄光寺で一年ほど滞在する。 |
1761 | 32歳 | 「寒山拾得図 (京都・興聖寺)」 |
1763 | 34歳 | 「雲龍図」 |
1764 | 35歳 | 「群仙図屏風」2005年に重要文化財指定 |
1772 | 43歳 | 京都に居を構える。 |
1777 | 45歳 | 息子が夭折。 |
1781 | 49歳 | 蕭白が亡くなる。法名「一輝蕭白居士」。 |
今週の作品
・作品 雲龍図(1763年)
・場所 ボストン美術館
・縦横 165.6cm×135.5cm
・材質 紙本墨画
左の画面いっぱいに迫力満点の龍が描かれています。しかし、じっくりと眺めてみると、その表情はどこかユーモラス。龍の爪は太く力強い線描で描かれています。ところどころに飛び散る飛沫の激しさ、凄まじさ。その傍らには墨特有の滲みと濃淡で生み出した雲が、不穏な空気を漂わせています。画面右には、うねりをあげた尻尾。波をかき分けるように跳ねています。
雑感
縦165cm、横10.8m、巨大で非常に迫力ある水墨画です。
もとは禅宗寺院の襖絵として描かれたようですが、ボストン美術館に収められたときに、剥がされた状態で保管されたそうですね。
この絵もビゲロー氏によって救われた日本画の一つなのですが、残念ながら2軒分の襖が失われてしまっているそうです。そして美術史家の辻惟雄氏*1によると「失われた絵には、胴体が描かれていたのではないか…」とのこと。
まるで「ミロのヴィーナスの腕」のようです。残念ではありますが、失われた箇所を空想するのは面白く、作品により深みを与えてくれる気さえします。
参考
・記事
美の巨人たち - 関連記事一覧
西洋史と西洋美術史を概観する
日本史と日本美術史を概観する
・Webサイト
美の巨人たち 公式サイト - バックナンバー
曽我蕭白 - 日本大百科全書(小学館)
曽我蕭白 - Wikipedia
・書籍・文献
『広辞苑 第六版 DVD-ROM版』 岩波書店
『大辞林 CD-ROM版』 三省堂
『世界大百科事典 第2版』 平凡社
『日本美術辞典』 東京堂出版
『カラー版 日本美術史』 美術出版社
『日本美術史事典』 平凡社
*1:美術出版社の『日本美術史』や『日本美術の歴史』の人ですね。