[ipad/iphone]チェスアプリ比較 -Tactics編


はじめに

スマホタブレット端末と最も相性の良いチェス学習は、タクティクスなどのNext Move系ではないでしょうか? 何千何万の問題を持ち運べて、出先のスキマ時間に楽しむことができます。答え合わせも簡単です。

しかし、日本語の情報は少なく、どのアプリを選ぶべきかで随分悩みました。
結局、買って後悔したアプリも少なくありませんが、同じような境遇の人の参考になればと思い、記事に纏めておきます。

タクティクス系
・Chess - Play & Learn
・Chess Quest
Tactics Trainer
Shredder for ipad

メイト系
・Chess Problems by World Champions
・Mate in 2 Puzzles
・Mate in 3 Puzzles

番外
・Flashcards Deluxe

この記事で取り上げるアプリは、私が購入した上記の8種です。ここまでは、アメリカのiTunes Storeでの評価や英語サイトのレビューなどを参考に選びました。


まずは結論から

  • タクティクスだけなら、『Tactics Trainer』が妥当。
  • 強い対局ソフトも欲しければ、『Shredder』。
  • 手間を惜しまなければ、『Flashcards Deluxe』も検討に値する。

私は、『Tactics Trainer』と『Flashcards Deluxe』を併用することで落ち着きました。


タクティクス系

素晴らしいアプリです。*1私がチェスを再開する切欠にもなりました。しかし、タクティクスに関しては、[無料会員は一日3問まで]という制限があります。他にも有料会員でないと使えない機能もありますし、元を取れると思えば、[Chess.comの有料会員になる]のも一つの手だと思います。

『Chess Quest』/『Tactics Trainer』/『Shredder』の比較




Chess Quest Tactics Trainer Shredder
価格 450円 250円 700円
問題数 2千 2万 1千
操作性 ×
板駒の変更 不可 可能 可能
ユニバーサル ×
UI ×
操作性 ×
問題の選択 × ×
アナライズ ×
得点推移 ×
備考 - - 対局ソフトがメイン
iosトップクラスの強さ

対局ソフトも欲しければ、『Shredder』がベストだと思いますが、ユニバーサルアプリでもないため、ipad版・iphone版の両方を揃えると高く付いてしまいます。やはり、『Tactics Trainer』がおすすめです。

Tactics Trainerのレビュー




左上の[Training]をタップすると問題が表示されます。時間制限がないので、じっくり考えることができます。どうしても解けなければ右上の[Give up]を押すと回答が表示されます。





正解するとレートが上がり、間違えると下がります。自分のレートの推移は左から二番目の[Progress]で確認できます。

右上の[Analyze]を押すと、画面下に分析結果が表示されます。これが非常に便利です。紙の本だと答えに納得できずモヤモヤすることもありますし、ソフトの利点ではないでしょうか。





必要十分な設定ができます。特に板駒の色形は重要な要素だと思います。私は大抵、板の色は白と灰色、駒はAlphaで設定しているので、変更できないと違和感があります。
『Chess Quest』ではこれが出来ないのです。

メイト系

メイト系といっても、『Tactics Trainer』の問題の中にも含まれているので、『Tactics Trainer』をやり込んだほうが実戦的でしょう。もちろん、例えば、本番の前に[呼び水として三手詰めをたくさん解く]など、有効な使い道は色々とあると思います。





『Chess Problems』は、実戦譜から選ばれた問題なので良問が多く、棋譜も表示されるため勉強になります。ただし、全645問中 Mate in 2が160問、Mate in 3が140問、Mate in 4が100問……Mate in 17まであります。大半の問題は解けませんが、値段も手頃なので、買って損はなかったかなと思います。



『Mate in シリーズ』は
『Mate in 1 Puzzles』から『Mate in 4+ Puzzles』まであります。お試し版の『Mate in Puzzles Free』があるので、操作性などはそちらで試せます。内容は、パズル的な問題が多いため、『Chess Problems』に比べると面白いですが、実戦的ではないかもしれません。


【番外】書籍の問題をスキャン→『Flashcards Deluxe』で計画的に学習する。

本記事の主旨から外れてしまいますが、タクティクスアプリを買うよりも、書籍の問題を『Flashcards Deluxe』に取り込んで、学習する方法もあります。

『Flashcards Deluxe』とは、非常に高機能な暗記カードアプリのことです。画像や音声もカードに組み込めますし、「Spaced Repetition」という"効率の良いタイミングで復習できる"スケジュール学習機能が秀逸です。

例えば[詰将棋でも同じ問題を繰り返しやりなさい。]といわれます。この教えは、チェスにも当てはまります。特に基本的なメイト形や手筋などは、いっそ丸覚えしてしまった方が効率的でしょう。

ようするに、

  • Murray Chandler『How to Beat Your Dad at Chess』
  • Yasser Seirawan『Winning Chess Tactics
  • Bruce Pandolfini『Pandolfini's Endgame Course』

アプリを買うよりも、上記のような評判の良い本の問題を、『Flashcards Deluxe』という高機能な暗記ソフトに取り込み、効率よく覚えてしまうのも一つの手ではないか。 ということです。

もちろん、基本的な本だけではなく、『Practical Chess Exercises』とか『Tactics Time!』といった良書も覚えるまで繰り返し解く価値はあるでしょう。

解りにくいので、例を挙げておきます。

表面



これは、私が『Flashcards Deluxe』用に自作した、『Winning Chess Tactics』の問題です。

画面をタップすると、答えが書かれた裏面に変わります。正解なら左へ、不正解なら下へ、自信があれば上へ、スワイプします。

スワイプ後は次の問題が表示されます。1つのデッキに1万題以上の問題を収めることができます。


裏面



画面下部の赤枠で囲まれた数字【(10h) 5h 14h 1】は、左から順に以下の意味を表しています。
・この問題は10時間前に出題された。
・下へスワイプしたら5時間後に再出題。
・左へスワイプしたら14時間後に再出題。
・上へスワイプしたら1日後に再出題。

再出題されたとき、あらかじめ設定した率にしたがって数字が増減しています。繰り返し解くにつれて再提出までのスパンが長くなるということです。


あらためて結論を、

  • タクティクスだけなら、『Tactics Trainer』が妥当。
  • 強い対局ソフトも欲しければ、『Shredder』。
  • 手間を惜しまなければ、『Flashcards Deluxe』も検討に値する。

私は、『Tactics Trainer』と『Flashcards Deluxe』を併用することで落ち着きました。

*1:最近のアップデートの日本語化はイマイチでしたが…