【美の巨人たち 感想】 上村松園 「母子」
今週の芸術家
・作者 上村松園(1875-1949)
・国籍 日本
・職種 画家
1874 | 0歳 | 父死去。母仲仔・26歳の若さで寡婦となる。 |
1875 | 1歳 | 京都の葉茶屋「ちきり屋」の次女として生まれる。 |
1887 | 12歳 | 京都府画学校に入学、四条派の鈴木松年に師事。 |
1890 | 15歳 | 「四季美人図」を出品、一等褒状受賞。 |
1893 | 18歳 | 幸野楳嶺に師事。火事のため高倉蛸薬師に転居。 |
1895 | 20歳 | 楳嶺の死去にともない、竹内栖鳳に師事。 |
1902 | 27歳 | 長男・信太郎が誕生。 |
1903 | 28歳 | 車屋町御池に転居。 |
1907 | 32歳 | 第1回文展で『長夜』が三等を受賞。 |
1908 | 33歳 | 第2回文展で『月かげ』が三等賞を受賞。 |
1914 | 39歳 | 間元町竹屋町に画室竣工。 |
1918 | 43歳 | 異色作『焔』を発表。 |
1924 | 49歳 | 帝展の委員に選ばれる。 |
1934 | 59歳 | 母死去。『母子』を第15回帝展に出品。 |
1941 | 66歳 | 帝国芸術院会員になる。 |
1945 | 70歳 | 奈良平城の唳禽荘に疎開。 |
1948 | 73歳 | 女性として初めての文化勲章を受章する。 |
1949 | 74歳 | 死去 |
今週の作品
・作品 母子(1934)
・場所 東京国立近代美術館
・縦横 168cm×115.5cm
・材質 絹本著色、額装
京都、夏の終わりの黄昏時、夕涼みに出てきたのでしょうか。
若い母親が赤ん坊を抱えています。
その子どもを見つめる慈しみに満ちた眼差し。
背景の唐風の凝った簾は、京の町家の凝った設えだったのか。
地味ながら品の良い涼やかな着物が、この母親が大店の若女房であることを思わせます。
浮世絵とは違い、ふっくらとした母の肉付きを描く縦縞の見事な描線。
それが母の存在感を高め、見るものに迫ってくるのです。
驚くのは、絹の折り目が見える程の薄塗り、その描き方は松園ならではのもの。
決して派手ではない色彩をバランスよく配することで、この母親の気高さを一層引き立てているのです。