【美の巨人たち 感想】 東山魁夷「年暮る」


2012年12月22日 放送



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今週の芸術家


・作者 東山魁夷(1908-1999)
・国籍 日本
・職種 画家・著述家


1908 0歳  船具商を営んでいた家の次男として、横浜市に生まれる。
1911 3歳  父の仕事の関係で神戸西出町へ転居。
1926 18歳  東京美術学校 日本画科へ進学。結城素明に師事。
1931 23歳  東京美術学校を卒業、研究科に進む。
1933 25歳  ドイツのベルリン大学(現フンボルト大学)に留学する。
1935 27歳  父危篤の報を受け、ドイツから帰国する。
1940 32歳  日本画家の川粼小虎の娘すみと結婚。
1945 37歳  応召、熊本で終戦を迎える。
1947 39歳  第3回日展で『残照』が特選に選ばれる。
1956 48歳  第11回日展出品作『光昏』で日本芸術院賞を受ける。
1957 49歳  文作『わが遍歴の山河』発表、文章もよくした。
1960 52歳  東宮御所壁画『日月四季図』作成。
1968 60歳  連作「京洛四季」の締めくくりとして『年暮る』を発表。
1969 61歳  毎日芸術大賞、文化勲章を授与される。
1973 65歳  『唐招提寺御影堂障壁画』の制作開始。
1981 73歳  『唐招提寺御影堂障壁画』完成。
1987 79歳  所蔵していた自作を長野県に寄贈
1999 90歳  死去


今週の作品


・作品 年暮る(1968)
・場所 山種美術館
・縦横 442mm×606mm



京都鴨川沿い、東山三条あたりの風景です。
画面全体に、ただ低く連なる町屋の屋並みだけが描かれています。
しんしんと降り積もる雪。
空もありません。
人の姿もありません。
でも、目をこらしてみると手前の家に灯る明かりが微かに見えます。
伝わる温もり。
たっぷりと湿り気を帯びた冷気、彼方から響く除夜の鐘。
年の瀬の京都、繊細優美な世界。

雑感

『年暮る』の発表から、およそ半世紀が経ちました。
川端康成が懸念していたとおり、古都京都には、もう『年暮る』の町並みはありません。古都の面影と近代ビルが混ざった、なんとも歪な都市になってしまいました。

だけれども、「京都らしさ」ってなんでしょう。
平安京に遷都してから東京へ遷都するまでの1000年以上もの間、京都はまさに都でした。しかし、形骸化していた屈辱的な?時期は長く、応仁の乱で町自体が壊滅したこともありました。『羅生門』だって京都だし、新選組も京都っぽい。

私が漠然とイメージしていた「京都らしさ」に少し違和感を覚えました。