【美の巨人たち 感想】 カラヴァッジョ 「エマオの晩餐」

2012年12月1日 放送



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今週の芸術家


・作者 ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ
・国籍 イタリア
・職種 画家


1571 1歳 ミラノで三人兄弟の長男として生まれた。
1576 6歳 ペスト流行のため、一家でカラヴァッジョ村へと移住。
1577 7歳 父が死去する。
1584 14歳 母が死去。ミラノの画家シモーネ・ペテルツァーノに師事。
1588 16歳 徒弟の年季が終了するも、ミラノ近辺に在住していた。
1592 20歳 役人を負傷させて、無一文でローマへ逃げ込んだ。
1593 21歳 ジュゼッペ・チェーザリの工房で助手を務める、一年で解雇。
1594 22歳 独立。『女占い師』、当時ローマでは革新的なテーマだった。
1599 27歳 枢機卿デルの推薦で、教会の室内装飾の依頼を受ける。
1600 28歳 『聖マテオの召命』『聖マテオの殉教』完成、大評判を得る。
1601 29歳 大量の絵画制作依頼。この時代の一枚が『エマオの晩餐』。
1605 33歳 ラヌッチオ・トマゾーニという若者を殺害してしまう。
1606 34歳 ローマの司法権が及ばないナポリへ逃れる。
1608 36歳 画家として成功を修めるも、また問題を起こしシチリアへ。
1610 38歳 死去。


今週の作品


・作品 エマオの晩餐(1601)
・場所 ロンドン ナショナル・ギャラリー
・縦横 141cm×196cm
・備考


描かれているのは、エマオという土地の宿屋で起きた奇跡の場面です。
登場人物は4人、中央には磔にされた後、復活したイエスキリスト。
その左隣に宿屋の主人、残りの二人はキリストの弟子たちです。
暗がりに浮かび上がるキリスト、その赤と白の鮮烈。
弟子たちは、手を広げ身を乗り出して驚いています。
目の前の男が、復活したキリストだと、この時はじめて気づいたからです。

雑感

今週のショートストーリーは、イタリアの撮影監督ジュセッペ・ピノーリさんが『エマオの晩餐』を実写で再現するというものでした。再現の仮定を見ながら、カラヴァッジョもこんなふうに構想を練っていたのかなぁと、とても興味深く見せてもらいました。

ところで、カラヴァッジョは、画家としては一流だったけれど、とても豪放な人物だったようです。チェスプレイヤーでいうところの、ボビー・フィッシャーのような感じでしょうか。

しかし、特に芸術は、作者の感性あってのモノですから、毒のないカラヴァッジョがいたとしても、こんなに魅力的な作品は描けなかっただろうと思うのです。もちろん、殺人を容認するわけではありませんが…