【美の巨人たち 感想】 ジョルジュ・ド・ラ・トゥール「灯火の前のマグダラのマリア」
今週の芸術家
・作者 ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(1593-1652)
・国籍 フランス
・職種 画家
1593年 | ロレーヌ公国(現フランス)にパン屋の息子として誕生。 |
1617年 | ディアヌ・ル・ネールと結婚 |
1620年 | 最初の徒弟をとる |
1621年 | 次男エティエンヌの洗礼 |
1623年 | アンリ二世、ラトゥールの最初の絵画を購入 |
1624年 | アンリ二世による二度目の絵画購入 |
1634年 | ルイ十三世への忠誠宣誓書にサイン |
1638年 | フランス軍の略奪により、工房を作品とともに破壊される。 |
1639年 | パリに出て、国王ルイ13世から「国王付画家」の称号を得る |
1648年 | 最後の徒弟をとる |
1652年 | 伝染病により妻と子を相次いで失う。 |
1652年 | その数日後、自身も胸膜炎にて死去。 |
今週の作品
・作品 灯火の前のマグダラのマリア(1640-1645)
・場所 ルーヴル・ランス美術館
静かな夜、ただ光と闇だけのひととき。その深い闇の中で、椅子に腰掛けた女は、ただじっと常夜灯を見つめています。揺らめく炎の柔らかさ。灯りに照らされた、腕の白さの鮮烈。陰りの中、膝の上に置いたドクロを右手でそっと触れています。ブラッド・レッドのスカートが光と闇の世界にひときわ鮮やかです。テーブルの上には2冊の書物、手前には、鞭と十字架が描かれています。
雑感
マリアはエルサレムの東にあたるベタニアの町の裕福な家に生まれた。しかし、幼くして両親を失い、遺産を受け継いでからは、ゲネザレト湖畔に面したマグダラの別荘に移り、美貌と金にあかせて、不品行の限りを尽くしてしまう。
そして、そんな不品行の祟りからか、やがて彼女は七つの悪霊に憑かれて苦しむことになる。
窮地に立ったマリアは、諸方をめぐって福音を伝えながら病人や悪魔憑きを癒していたイエスを頼り、彼の前で心から過去の罪を痛悔した。
イエスに許されることで、彼女の心身の病は、拭ったように癒され「悪霊」から解放された。こうして霊的に目覚めた彼女は断固たる決心をもって不純な関係をいっさい断ち切り、以後は、熱心に修徳の道を進んだ。