【美の巨人たち 感想】 ベルニーニ 「アポロンとダフネ」
今週の芸術家
・作者 ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(1598-1680)
・国籍 イタリア
・職種 彫刻家・建築家
1598 | 0歳 | 彫刻家を父にイタリア南部の町ナポリに生まれる。 |
1605 | 7歳 | 父の仕事の関係からローマに移住 |
1615 | 16歳 | 彫刻『雌山羊アマルティア』作成。天才の片鱗が見て取れる。 |
1622 | 23歳 | 彫刻「アポロンとダフネ」製作開始。 |
1624 | 25歳 | 建築「サン・ピエトロ大聖堂祭壇天蓋」着工。 |
1625 | 25歳 | 彫刻「アポロンとダフネ」発表。 |
1629 | 30歳 | ローマ教皇庁の建築家になる。*1 |
1633 | 34歳 | 建築「サン・ピエトロ大聖堂祭壇天蓋」完成。 |
1639 | 40歳 | Caterina Tezioと結婚、11人の子供をもうける。 |
1647 | 48歳 | 彫刻「聖テレジアの法悦」作成開始。 |
1652 | 53歳 | 彫刻「聖テレジアの法悦」発表。 |
1656 | 57歳 | 建築「サン・ピエトロ大聖堂列柱廊」着工。 |
1665 | 66歳 | ルイ14世に招かれて、パリ訪問。*2 |
1667 | 68歳 | 建築「サン・ピエトロ大聖堂列柱廊」完成。 |
1673 | 74歳 | 妻、死去。 |
1680 | 81歳 | 死去。 |
今週の作品
・作品 アポロンとダフネ(1622-1625)
・場所 ボルゲーゼ美術館
・高さ 約2m50cm
・材質 大理石
入り口から眺めると、走る男の背中が飛び込んできます。
気になって近づいていくと、男の前には女の後ろ姿が…
二人はなにをしているのか。
さらに回りこんでみると…
鑑賞者は、ここではじめて、手や髪の毛が月桂樹の葉に変身していく劇的なドラマを目撃するのです。
見るものが歩き、視点を移動させることで展開していく物語。
これこそが彫刻家が目指した、理想の劇場だったのです。
雑感
モチーフとなった、「アポロンに求愛を迫られ自らの身を月桂樹に変える話」は、ギリシア神話の中でも有名なものだそうです。アポロンは眉目秀麗な青年で、神としての格も高い、という印象があったので、こういった失恋話?は少し意外でした。
それにしても驚いたのは、ベルニーニの表現力と超絶技巧です。導線を利用した物語の構成とあの瞬間的な表情や動作の表現、この組み合わせを是非体感してみたいものです。
後の名作「聖テレサの法悦」では、まさに建築と彫刻を組み合わせ、現実の光を巧みに取り入れて、作品世界を構築しています。
稀代の彫刻家であり、一流の建築家でもあるベルニーニだからこその業なのでしょうか。