【美の巨人たち 感想】 修円「室生寺五重塔」

2012年12月8日 放送



TV TOKYO 公式サイトへ


今週の芸術家


・作者 室生禅師 修円(771-835)
・国籍 日本
・職種 僧侶


771 0歳 大和国(現奈良県)北谷に生まれる。
802 32歳 最澄の高雄天台会に参加。
810 40歳 律師となる。
813 43歳 興福寺第三代別当となり伝法院を建立します。
827 57歳 少僧都となる。
834 74歳 比叡山延暦寺を退出、弟子の堅慧を伴って室生山寺に移り住む。
835 75歳 死去


今週の作品


・作品 室生寺五重塔(770-781)
・場所 室生寺
・高さ 約16.1m
・材質 木造


檜皮特有の、まるで羽のような緩やかな曲線。
ぽってりとした厚みが持つ、柔らかさと優しさ。
職人たちの手のぬくもり。
大きく広がる反りは、大空に広がる翼を思わせます。
この檜皮の屋根もまた、小さな塔を大きく見せる演出だったのです。

雑感

1998年 台風7号五重塔が大きく損傷、大規模な復興工事がなされました。そのときに、創建当初は板葺きの屋根だったが、前回の修理の際に檜皮葺の屋根に変えられていたことが判明したそうです。

創建当時の状態に修復するか、今の人たちが慣れ親しんだ姿に修復するか。結局、檜皮葺の屋根のまま修理したらしいのですが…

非常に悩ましい問題だと思います。

なるほど、「女人高野・室生寺」には、檜皮葺の屋根による緩やかな曲線が似合うのかもしれません。現在の姿になった経緯も建物の歴史です。しかし、創建当時の姿に修復する意義も確かにあると思うのです。