【美の巨人たち 感想】中川一政「福浦突堤」
今週の芸術家
・作者 中川一政(1893-1991)
・国籍 日本
・職種 洋画家
明治26年 | 0歳 | 東京本郷に生まれる。 |
大正3年 | 21歳 | 初作品の油彩画『酒倉』を巽画会展に出品、岸田劉生の目にとまり入選。 |
大正4年 | 22歳 | 岸田劉生と出会う→草土社結成。武者小路実篤、志賀直哉、長與善郎らと知り合う。 |
大正9年 | 27歳 | 初の油彩個展を開く |
大正11年 | 29歳 | 石井鶴三、木村荘八、岸田劉生、椿貞雄らと共に春陽会の客員となる。 |
大正12年 | 30歳 | 伊藤暢子と結婚。 |
大正14年 | 32歳 | 訳書『ゴオホ』を出版 |
昭和6年 | 38歳 | 初の水墨画個展を開く |
昭和12年 | 44歳 | 小川芋銭、菅楯彦らと墨人倶楽部を結成。 |
昭和24年 | 56歳 | 神奈川県足柄下郡真鶴町に画室を建築。 |
昭和33年 | 65歳 | 光琳生誕300年記念展覧会が北京で開催され、団長として中国を訪問。 |
昭和38年 | 70歳 | 中国で開催された日本現代油絵展の画家代表団の団長となり、中国を訪問。 |
昭和40年 | 72歳 | ソ連文化省の招待で、同国美術演劇事情を視察した後、欧州9カ国を巡る。 |
昭和45年 | 77歳 | 妻暢子、死去。 |
昭和49年 | 81歳 | パリで個展を開く。 |
昭和50年 | 82歳 | 中国文化交流使節日本美術家代表団名誉団長として中国を訪問。文化勲章受章。 |
昭和59年 | 91歳 | 東京都の名誉都民となる。 |
昭和61年 | 93歳 | 松任市の名誉市民となる。松任中川一政記念美術館開館。 |
昭和62年 | 94歳 | 美術館別館開館。中川一政の周辺特別展が行われる。 |
平成元年 | 96歳 | アトリエのある神奈川県真鶴町に、真鶴町立中川一政美術館が開館する。 |
平成3年 | 97歳 | 病気のため死去 |
今週の作品
・作品 福浦突堤(1966)
・場所 真鶴町立中川一政美術館
・縦横
・材質
観る者を圧倒する骨太な風景画です。海から見た福浦港の風景でしょうか。画面手前には、白い突堤と赤い灯台が描かれています。その向こうには南の斜面に立ち並ぶ住宅と、切り開かれた山肌。その上にはぽっかりと雲が浮かんでいます。力感溢れる筆遣いに、明るくリズミカルな色彩の躍動。そして、大胆なデフォルメ。じっと見つめていると、この風景に込めたエネルギーが絵の中から溢れ出てくるかのような作品です。
雑感
デフォルメ【deformerフランス】
絵画・彫刻などで、対象や素材の自然な形態を意識的・無意識的に変形すること。歪形。デフォルマシオン。
印象派以降、近代以降の美術で、このデフォルマシオン的な表現が顕著になります。というか、ほぼ全ての絵画に、大なり小なりのデフォルメがなされています。
その理由として、科学の発達により写実の価値が低下したこと、その結果、画家が写実の束縛から解放されたことなどが挙げられるようです。
しかし、写実なら誰が見ても良し悪しの判断がつきますが、画家の情念や観念性を感じ取ることは万人にできることではありません。幼児の描いた絵とピカソの描いた絵が区別できない、なんて笑い話もあるくらいです。
画家にとって